いろはにほへと




「特に、好きになった人が、自分の良い所を引き出してくれるなら、尚更だよね。」




澤田はそこまで言ったところで、烏龍茶のストローに口を付ける。






ー自分の、良い所。。。







私はまだ何にも手を付けないまま、今までを振り返る。








ー自分は、誰のおかげで、防壁を崩して。


その向こうにいる人達と関わろうとしたんだろう。


一人でいるのが好きで、地味で、目立たなくて、息を潜めて生活する方が、感情が落ち着いていて楽だった筈なのに。


単調な毎日だったのに。



それで良いと思っていたのに。




自分の殻に閉じこもっていた私を引っ張り上げてくれたのは。



小さな世界を広げてくれたのはー






トモハルだ。






ー『楽しそうにも見えました。』




父に気付かれていた様に。

自分では自覚していなかったけれど。


トモハルに会ってからの自分は、きっと、いや確実に変化していた。