「…え?」
澤田は真剣な顔をして、私を見つめている。
ポテトを摘んでいた手は、とっくに止まっていた。
「中条さんはさ、その人のこと、『好き』なんでしょう?」
若干気圧されながら、コクリと頷く。
「私、思うんだよね。誰かを『嫌い』になる感情は、知らなくても良いかもって。でも、自分以外の誰かを『好き』になれたことは、自分にとってマイナスにはならないんじゃないかな。」
「そ…そうでしょうか…」
瞬きをして涙を払い、訊ねれば、澤田はふと視線をトレイに落とした。
「例えばー私は中条さんのこと、好きでも嫌いでもなかった。ただのクラスメイトってだけ。だけど、中条さんとルーチェのことで知り合えて、友達になって、好きになって、すっごい良かったって感じてるワケ。高校終わる前にそうなれて、損しなくて済んだ、って。」
さっきとは別の理由で、じーんと感動してしまった私。
再び世界がぼやけていく。


