いろはにほへと














「あ、あそこ空いてる。」



澤田が連れて来てくれたのは、明るい店内のファストフード店だった。

泣き腫らした私を気遣ってか、二階の隅の席を選んで、鞄を置く。



「何食べたい?私買ってくるから。」



「えっ…と」



どうしよう。



メニューも何もないのに。一体ここは何を売りにしているのかすら、わからない。



「こういう所に来たの…初めてで…」



財布片手に返答を待っている澤田に、しどろもどろになって白状すれば。


「あ、そっか!中条さんコンビニだって初めてだったもんね!」


合点がいったというように、彼女は手を叩く。



「じゃ、私と同じので良いかな?嫌いなものとか、あんまりなかったよね?」



「あ、ありが…とうございます…」



小さくなる私に、わかったーと言って、澤田は階段を降りていった。


ー良い人だ…



涙腺が緩んでいる今、じーんとするだけで視界がぼやける。