いろはにほへと


「トモ、ハルさんって…いつもそうなんですか?」




掴まれた手首がちりちりと痛い。



別に強く掴まれているわけではない。



でも、なんでか、チリチリ、する。




「!ひなの!名前覚えてくれたの?!」




訊ねたこととは全く関係のない部分に、嬉しそうな声が響く。




「いえ、そうじゃなく、、その…「トモハル、で良いから!」」




繋がった手をぶんぶんと縦に振って、トモハルはまた話を聞かない。





「ひなの、薬塗ってね!」




「・・・・・・・」




陽の光が、差し込んでくると。



多くのものは、美しく輝く。




だからか。



屈託なく笑う、トモハルの琥珀色の瞳も、綺麗に見えるのは。




ヒカリは、そういう錯覚をたまに引き起こす。




「っ、放してください…」




原因不明の胸の発作が再発。



逃げるようにしてトモハルの腕を振り切り、廊下を走り抜けた。