いろはにほへと


瞬時に顔に熱が集中した。


ああどうか、陽の光のせいに見えますように。

それでどうかごまかせますように。




「うはっ、真っ赤。」



満足気に笑った桂馬に、自分の願いは通じなかったんだと直ぐ悟った。


エンジンはかかってるんだけど、車内には今二人きり。


会話を聞かれる心配も無く、かと言って口を開ける精神状態でもなく、咄嗟に窓の外に目をやって、視線を逸らすしか成す術がない。


「あれから今迄、俺の事ばっかり頭にあったでしょ?」



窓のヘリに肩肘を付いた状態だった桂馬の問いかけが、悔しいかな図星に私の耳に届く。



「…そんなことありません。」



「図星か。」



「……」


運転手とマネージャーはまだか。


窓の外、後片付けに追われるスタッフ達の波を、念じるように見つめる。



「少しは、忘れられたでしょ。」



「!」



反射的に振り返る。

絡み合う、視線と視線。