いろはにほへと

今更一致する。


車内には、なんとなくだけど、嫌な雰囲気が流れていて、すごく居心地が悪い。



「今日は昨日のシーンの撮り直しもあるけど、今から撮るのは登校シーン家を出る所、家を行き来しているシーン、あとは学校に着いたシーン、かな。今休校中の田舎の高校を借りてやるから、当然、移動距離もかなりあるよ。」



喜一ちゃんが、淡々とした口調でスケジュールの説明をしていってくれるけど、私は変な緊張で、頭に全然入らない。


隣に座る桂馬なんかは、耳にイヤホンを嵌めていて、音楽を聴いている。


昨日の事なんかこれっぽっちも気にして居ない様子で、なんかちょっと苛々してきた。



ーなんで私ばっかり…



今の叶う筈のない恋を諦める為に、多少の犠牲が伴うとは思っていた。


だけど、それが、なぜ、どうして、あれに繋がるのか。


桂馬の事だから、いつものようにからかったのかもしれない。


ー本気で悩んでる私のことを、バカにして!


そう思ったら、どんどん腹が立ってきた。