いろはにほへと

「完全にセクハラじゃんね。」



トモハル達を乗せた車が走り去った後、見送る私の後ろで、桂馬が毒吐く。



「え、え、せ、セクハラ…ですか?」



そうなのか?!と振り返れば、桂馬はつまんなそうな顔をして。



「あんた嫌そうじゃないから、違うけど。」



ポケットに手を突っ込んだまま、言った。



「そっ、そんなことっ…」


顔が赤くなったり、青くなったりで、今日は忙しい。


「いいから。もう行くよ。マジで、時間のロスだわ」



はぁ、と溜め息を吐き、桂馬が車に乗り込んだ。


「前の車、ルーチェだったの?」


助手席には、桂馬のマネージャー、桂馬曰く喜一ちゃん、が座っていて、トモハルが降りた方は喜一ちゃんとは反対側になっていたせいか、よく見えなかったようだ。


「まーね…」


桂馬が無関心そうな返事をするが、喜一ちゃんは気にした風もなく。



「よっぽどお気に入りなんだねぇ、中条ひなのさん。」



発車した後で、私をちらりと振り返った。


そういえば、この桂馬のマネージャーは、早川さんに厭味を言っていた人だった。