いろはにほへと

頭が真っ白になる。


思考回路がぷっつりと途絶えた状態。


ぐるぐるぐると回っているのは、自分とは永遠に無縁なことだろうと思って想像したことも、考えに上ったこともない、二文字の言葉。





「さ、そろそろいこっか。」



「~~!いっ」



桂馬の足しか見えなくなって、慌てた私は咄嗟に立ち上がろうとして、テーブルに頭を打ち付けた。


ゴスっという生々しい音もしたし、テーブルも一瞬浮き上がった。





「~~~~~~」




今度は頭を抱えて、再びしゃがみ込む。





「大丈夫?」




ひょいっと、テーブルを少しだけずらして、桂馬が手を差し伸べた。



その掌だけで、既に赤くなっていた顔が、更に濃さを増した。




「だ、…です…!」



じんじん感じていた痛みも吹っ飛び、声にならない声を出して、涙目で立ち上がる。


とらなかった桂馬の掌は、行き場を失くし、ひらひらと主の下へと戻った。