「あらら、桂馬君、大分年上に見られていたのね。」


「うるさい」



運転手の茶化すような物言いに、隣の桂馬が苛立ちを露わにした。



「俺の事そんな風に見てたわけ」



「いいいいいいえ、いや、あの…はい…」



恐い。恐すぎる。


私は視線を下に、自分の膝とにらめっこしながら頷いた。




「…もういいや、拓馬。そこらへんで停めて。」


「何、どこ行くの。」


「俺、こいつにみっちり稽古してやんなきゃなんねぇの。明日もあそこ通うんだし、一週間で撮り切る予定だから、まずは図書館で知識を叩き込んでもらう。」



「図書館で何を叩き込むっていうんだよ」



桂馬の言葉に、拓馬と呼ばれた男がぶっと噴き出す。



「うるせーな、ほっとけ。俺には俺の考えがあんの。ほら、中央図書館の裏の駐車場で降ろして。」



「はいはい」



私はもう何がなんだかわからず、半拉致状態で固まったままの姿勢を取るばかり。