人生これまでにないほど緊張していて、ピンと張っていた糸が、緩んだ瞬間だった。



「と、、友達が、好きでよく鞄にぶらさがっていたのでっ…」



どうかわかりませんようにと俯き。


安心して泣くなんて、子供かって思う。




「へぇ、友達…できたんだ?」



だけど、余りにも優しい声で、トモハルが言うから。


つい、どんな顔をしているのか見たくなって、ちらりと伏せていた筈の視線を上げた。




「!」



予想以上に、優しすぎる笑顔が間近にあって、トモハルが、以前私が話したことを覚えてくれていたのだという実感が湧いた。





「はいはーい、遥?俺は今ね、どうしたら中条が自然な形で演技に入れるかっていう話をしてた訳。世間話をする為に呼んだんじゃない。」




間に割って入るように羽柴監督が出てきて、トモハルを見やった。




「―そうですねぇ…」




うーん、と考え込んだトモハル。


そこへ。



「俺と仲良くなればいいんじゃないですか?」