いろはにほへと


その下に覗く、色素の薄い瞳が見えた。



部屋に差し込んだ陽の光に透けて、琥珀色に透ける。






静かだな、と思ってふと、ラジオに目をやると、脚立が倒れた際に引っ繰り返って停止したそれが、無言で床に転がっていた。






「あの、聞いてる?」






私の余りに無な反応に、痺れを切らしたらしい茶髪男が私を覗き込む。






「…!聞いていますので、その…覗き込むのはやめていただけますか?」





私は思わず、自分の前髪を抑えた。




「え、あ、うん。…ごめん。」




茶髪男は何を言われているのかわからないまま、とりあえず返事をして、姿勢を正す。






匿う。とは。




つまり、人を密かに隠しておくということで。




大抵、そういう人は悪い人だ。




一度聞き流した言葉が漸く頭に戻ってくる。






「…あの、私、犯罪者の肩を持つ気は…」




「犯罪者じゃないから!」





断ろうとすると、茶髪男は大きく手を振って、否定した。




「……本当ですか?じゃあ、なんで…」




前髪で見えないだろうが、実際はかなり疑いの眼差しを向けている。




「…う、、、ま、まぁ、理由は言えないんだけど…、とにかく警察に追われてるわけじゃねぇから。暫く、少しだけでいいんだよね。それこそ夏の間、とか。俺をここに置いてくれない?」