いろはにほへと

「…留守か?無用心だな。これ位大きいとお手伝いさんとか居そうだけどな。」






「ま、誰か居るってことは、見つけたら不法侵入で通報するだろ。さすがに俺達無断で入るわけにはいかないよなぁ。」







その会話中、ずっと口を塞がれていた。







「仕方が無い。今日の所は一旦帰ろう。」





カラカラカラ…ピシャン。




二人の意見がまとまったようで、敷地内には再び静けさが戻る。






「ふーーー、助かった」






私の口を塞ぐ茶髪男は、安堵したように呟いた。






「ごめん、ありがとな。」





茶髪男はそう言って、私を解放するが。






「ありがとうついでにお願いがある。」





そう言って、向かい合わせになると、正座をして、まっすぐに私を見つめ、言った。














「俺を匿ってくれない?」






赤茶けた色の髪が、さわさわと揺れる。