いろはにほへと

「大丈夫です。ところで、あの…」




私に代わって、身体を打ったに違いない男の上に乗っかった状態。



後ろからしっかりと受け止めていただいたらしい。




その背後に向かって。






「貴方、どなたでしょうか?」




さっきから感じていた質問をぶつけてみた。




そこに―。




「おい!もしかしてここの中入って行ったか?」





屋敷の門の外が何やら騒がしくなる。



さっき遠退いていった人の声と同じようだ。






「あれは、貴方を捜しているのでは―「しっ!」!?」







茶髪男は右手で私の口を塞いで、そのままずりずりと部屋の隅へ移動した。




ちょうどそこは影になる死角で、外から見えることはまずない。





「インターホン、あるか?」



「いや、ないな。」





人数は二人といったところか。







「そこ、開いてるのか?」





同時に、カラカラと戸をスライドさせた音がする。





「開いてる…。しかし、立派な屋敷だなぁ。雑草はすごいが。。。あ、でも、窓が開け放してあるぞ。」






「じゃぁ、人が住んでるんじゃないか?」








「そうだな。すみませーん!ごめんください!!」