一ヶ月の成績…。指名や出勤日数によって一番お客さんを相手した人がナンバーワンと決めていくらしい。驚くことに早紀は勤めて一ヶ月でナンバー3に入った。毎週水曜日はお客さんが少ないのに早紀は指名してくれるお客さんがいる。これが大きかったみたいだ。これをきっかけにナンバーワンになりたいと思い、今まで何となく仕事をしていたのが、本気で頑張ろうと決意させたのである。友達と遊ぶなんてこともなかったし、好きな服もバッグも買ったこともなかった。初出勤の日の日払いを除いて月払いにしていた早紀は給料日が楽しみだった半面、大金を貰ったらどうすればいいのかわからなかった。待ちに待った給料日。領収書に書かれていた金額を見て目が点になった。五十二万。給料は四十二万だったのだがトップ3に入ると給料とは別に十万貰えるとゆう制度があるとミキに言われた。領収書には店の名前、金額、日付が書いてあり、その下に自分の名前と住所を書く。書いた瞬間五十二万とゆう大金は早紀のものになった。初日、日払いをしてもらったので合わせると五十五万になる。手取りは五十五万だが、雑費などを引かれているため五十五万以上あることになる。喜びと同時に初めて手にした大金に戸惑いながら家に帰り、あまり多く家にお金をいれるとお母さんに疑われる。毎月十万円入れてたのを「時給、少し上がったから」なんて生まれてはじめて嘘をついて十五万をお母さんに渡した。お母さんは「いつもありがとう。一万円は服でも買いなさい」と言い一万円を渡してきた。素直に受け取り、次の日、急いで銀行に向かった。大金を持っているのが怖かったから。十万円と母がくれた一万円を財布に残し残りは全部貯金した。学校にいく時間が過ぎ学校からお母さんに電話がいってしまった。遅刻して行くと先生が初めての遅刻だったため理由をしつこく聞いてくる。夜遊びしている友達が遅刻してきても見てみぬふりをするくせに。銀行にいってました。なんて言えるわけもなく、通学途中にお腹が痛くなってコンビニでトイレ借りてました。よくある嘘をついた。人に嘘なんてついたことなかったのに。お母さんにも先生にも嘘ついちゃった。教室に入るとミキが「珍しいね。早紀が遅刻なんて」「銀行行ってた」ミキには嘘をつかなくていいことに少し気持ちが落ち着いた。