慣れない口調で店長さんへと伝えると、おしゃべりの楽しい時間が続くこともなく、おじさんは「シャワー入ろうか」と言いサービスがスタート。緊張してまた手が震える。震えていたことに気付いたのかおじさんは「自分で洗うから大丈夫だよ」と言って洗ってくれた。いいおじさんだけど、早く時間が経つことを願った。六十分はすごく長く感じた。何とか講習通り初仕事を終え、使ったタオルを言われた通りに片付け、店長からの一言。「初めてなのに、延長取るなんて頑張ったね」褒め言葉なのだろうが、ちっとも嬉しくなかった。次々とお客さんが入れ代わりに入ってきてはサービスを、ぎこちなくこなしていった。手が震えるのもなくなってきた頃。時計を見ると十時を少し回っていた。インターホンが鳴り店長さんが「上がっていいよ。帰る準備して」更衣室にいくとミキが着替えていた。「おつかれ早紀。どうだった?」と聞いてくる。どうだったも何もこんな仕事なんて聞いてないって怒ろうとも思ったが仕事内容を聞かなかったのは自分だ。ミキが悪いわけじゃない。「なんとかできたよ」小さい声でつぶやいた。また明後日の水曜も仕事だと思うと逃げ出したかった。でも日払いで貰った給料。十六時から二十二時の六時間で三万八千円とゆう大金を見て、この仕事なら三日で前、働いてたファーストフードでの給料の一ヶ月分も貰える。現実に戻り、お金さえあれば何でもできる。お金のためなら我慢できるとゆう気持ちになった。疲れきって家に帰ると、お母さんが「お帰り」と明るく迎えてくれた。お母さんには言えない。次の日、起きて、いつものように学校に向かう。なぜか人の目が気になる。悪いことしているんだと罪悪感で一杯になった。風俗とゆう仕事が悪いわけではない。十六歳だからだ。でももう戻れない。だって一日で三万円八千円も給料もらったら他の仕事をする気も起きない。悪いことに手を出さなければ、いい生活なんてできないんだと自分に言い聞かせていた。不公平な世の中だもの。政治家でも悪いことして稼いでる。年をごまかすくらいなんてことない。自分にいいほうに考えて学校に着いていつものように授業を受けた。今日は仕事が休み。家に帰っても暇だし漫画喫茶で時間を潰して帰宅した。明日は水曜日。仕事だ。嫌だと思いながら眠りについた。