お店…。系列店だけど、半年後には、自分のお店を持てるようになった。もちろん、タケ君と一緒に経営していく。早紀とタケ君とアルバイト二人、社員二人、計六人で運営していく小さなネイルサロン。小さいお店だけど、順調に進んでいる。東京に来て一年。タケ君の「俺を早紀の側にずっと居させて下さい。結婚しよう」と言うプロポーズで結婚を決意。山本早紀から本間早紀にと変わった。慣れない名字で、呼ばれても気付かないことが多い。仕事が忙しくて結婚式もあげれなかったけど、幸せなのは変わりない。何年も一緒に居たから生活は何も変わらなかった。変わったのは責任の重さと愛の深さ。結婚なんて、ただの紙切れ一枚の誓約書。別れたければ、また紙にサインをすればいいだけの話し。でも恋人と夫婦の違いは、一生添い遂げると神様に誓ったことで家族となったのが夫婦。助け合い、支え合う。実際、結婚してみると、ただの紙切れが重たく感じる時もある。恋人同士の生活のほうが気持ちは楽だったかもしれない。でも、支え合ってる、守られてるって気持ちが大きくなった。イライラするときもあるし、簡単に「別れる」なんて言葉にもできない。結婚なんてしなきゃよかったとまで、思う時もある。助け合って何かを成し遂げた時は結婚してよかったと思う。人間わがままだから幸せをずっと感じるなんて無理に近いのかもしれない。早紀は結婚の重さと、結婚によって成長した自分がなんだか誇らしかった。結婚生活も落ち着いてきた頃。本社からお店を拡大しないかと話しがきた。従業員も増やして、今よりも売り上げを上げなくてはならない。タケ君の担当の経理の仕事も増える。問題も沢山ある分、成功すれば収入も多くなる。早紀とタケ君は長い時間、相談した結果、拡大することにした。お店の拡大のため寝る時間も裂いて計画を練る早紀とタケ君。二人で励まし、支え合いながら順調に進んでいく。リニューアルオープンの日。チラシや雑誌にお店のことを載せている分、お客さんが普段より多い。待ち時間があるために帰ってしまうお客さんもいた。それでも初日は想像以上の成功で幕を閉じた。夢が大きくなって実感できた日だった。早紀とタケ君は久しぶりにお祝いを兼ねて、ちょっぴり豪華なレストランで食事をした。お互い「ありがとう」を言いながら…。常連なお客さんも増えてきて、忙しくなって来た頃。