タケ君とは変わらず続いている…。タケ君の昔を知る人は「女とここまで長く続くなんてタケらしくない」なんて言う人もいる。タケ君の過去がどうであれ、今のちょっとした幸せがあれば、もう他人に何を言われても強い心で、跳ね飛ばせる自信があった。今までの人生を振り返ってみると、生活に追われて、日々仕事ばかりの毎日だった。そんな一緒に頑張って来たお母さんが結婚することになった。良太さんの仕事の事情で遠くに引っ越してしまう。苦労してきた分、お母さんには幸せになってほしい。結婚に賛成して、二人の結婚式を早紀とタケ君は笑顔で祝福してあげた。あまり大きい結婚式ではなかったけど、お母さんのドレス姿は、いつもの何倍も美しかった。早紀もいつか綺麗なドレスを着て、タケ君と結婚したい。そう心から思った。お母さんとお父さんになった良太さんが遠くへ行く日。お母さんと離れて暮らすのは産まれて初めて。でも早紀にはタケ君が側に居る。これから二人暮らし。不安もあるけど、もう二人には一切隠し事もなければ、苦難を乗り越えて強い心を得た。お母さん達を空港で見送った後、タケ君と早紀、二人でご飯を食べに行った。色んなことを話して、今までのこと、これからのこと、何でもない話しをして帰宅。二人っきりの家に何か物足りなさを感じながら、二人はお風呂に入り、眠りについた。それからも何も変わらない毎日を送り、幸せで胸は一杯だった。でもそんな幸せも時が経てば普通になってしまう。一緒に時間を過ごしていても、性行為をしていても、薄っぺらい愛に感じてしまう。もう付き合って六年。もう何十年も一緒に居るよくある冷めきった夫婦みたいな感じの付き合い。デートをすることも減って、仕事から帰ってくれば、早紀は家事をこなしてタケ君はダラダラと何もしないで、あれ取って、これして、ばかり。人の心は時が経てば変わってしまう。いつか思っていたこと「時間が解決してくれる」そんなこともあれば時間が愛を小さくさせてしまうこともあるんだって毎日思うようになった。会話も少なくなって、性行為も少なくなる。めずらしいことではないのだろうけど、そんな生活が当たり前になってしまう不安で頭は一杯だった。一緒に居られるだけで幸せなんて言ってた頃が懐かしい。そんな不安の中、久しぶりにタケ君が、いつか行ったお祭りに誘ってくれた。このお祭りは、タケ君の子供に会ったお祭り。



