海…。気付いた時には海に居た。履き慣れない下駄で走ったせいで、足から血が出てくる。夜の海。足の痛さと、夜とゆう恐怖で涙が出てくる。ミキに電話しようと思って、携帯を開く。着信履歴一杯にタケ君の名前。メールが届く。「話しを聞いてほしい」聞きたくない。現実を知るのが怖い。再び電話が鳴る。出てみる。「やっと出た。どこにいる?」タケ君の焦った声。「海」おおざっぱに答えてみる。海なんて広いからわからないだろうと思いながら砂浜に座っていた。後ろからタケ君の声。「馬鹿」早紀の最初の言葉。「ごめん」タケ君の最初の言葉。タケは早紀に気持ちをぶつけた。「確かにさっきの子は俺の子供。でももう前の奥さんに引き取られてるんだ。早紀にプロポーズするときに子供の話ししようとしてた」早紀は思った。子供がいるのかを聞いていなかったのは早紀。タケ君が一方的に悪いわけじゃない。でもあの子は早紀と同じ、母子家庭。子供を捨てたタケ君とは幸せになってはいけない。この人は運命の人なんかじゃない。そんなことを思いながら「少し気持ちの整理したいから」とタケ君に告げ、一人で家に帰った。家まで送ってくれると言われたけど、今は、少しでも一人になりたかった。家に着くとやっぱりと思ってしまうほど考えていた通り、「タケ君は?」お母さんの言葉。細かく説明するのが面倒で「実家に泊まるって」とあっさり返事をした。自分の部屋に入る。色んなことが一気に頭に過ぎる。このまま終わってしまうのか。それでいいのか。どうしたらいいのか。次の日。一睡もできないまま学校、バイトにいく。バイトの二個上の先輩が話しかけてくる。今度の日曜日映画に行かないかとゆう誘い。誰に話し掛けられても何をしていても面倒に思える。「違う人誘って下さい」冷たく言い過ぎた。家に帰ると、テーブルの上に置き手紙。「お母さんは良太さんと出掛けてきます」久しぶりの一人の家は淋しかった。お母さんの幸せは続いている。お父さんがこの家を出ていってから八年。お母さんといつも一緒に居た。協力し合って大変な生活だったけどいつも笑顔をわすれなかった頃。懐かしい。タケ君がプロポーズという言葉を出した時、正直うれしかった。けど、結婚することが幸せなのか、結婚して一生幸せで居られるのか疑問もあった。なんだかんだ言ってお母さんと二人で一生懸命、生活していた時のほうが幸せだったかもしれない。