汚いとか思われてるのかな。愛がなくなったのかな。付き合って一年くらいずっと嘘ついてたわけだし、騙されたとか思ってるのかな。一人じゃどうしたらいいのかわからなくてミキに相談することにした。ミキは「早紀の口から本当のこと聞きたいんじゃないかな?」そのミキの言葉に決意を固め、その日の夜、タケ君に全てを告白した。十六歳から風俗で働いてたこと。森本さんはその時のお客さんで結婚を迫られたこと、タケ君と付き合って一年くらいはずっと生活のため続けていたとゆうこと。でもずっと変わらずタケ君が好きだったってこと。全て有りのまま話した。タケ君は笑って答えてくれた。「有難う。早紀の口から本当のこと聞けて良かった」もう絶対何があっても風俗には戻らないことを約束して二人の仲は深まっていった。その日のベッドの中では今までにないくらい熱い布団だった。その次の日。タケ君は森本さんに、きっちり話しをつけてくれた。後で知ったことなのだが、タケ君は早紀と出会う前はワルだったらしい。麻薬で逮捕された経験もあり喧嘩はもちろん喧嘩相手を病院送りにしたこともめずらしくない地元ではちょっと有名な人だった。そんな話しを聞いて森本さんが少し気になって色々と調べてみると案の定病院送りになり地方へと逃げたとゆうことがわかった。まだまだタケ君のこと、知らない早紀がそこにいた。そんな事件も忘れかけていた頃。タケ君の地元のお祭りに出掛けた。お好み焼きやクレープを買って歩いていると前から「パパ」と走ってくる小学生くらいの子供。早紀はかわいいなと思っていると、タケ君に抱き着く、その子供。タケ君はチラっと早紀の顔を見て目を反らす。「元気だったか?」と一言。は?「パパ」の声の後に元気だったかって、タケ君ってお父さんなの?そう、二十五歳になるタケ君は一次のパパだったのだ。十八歳の時付き合ってた人が妊娠して結婚。二年後に離婚。月に一度は子供に会っていたらしく、早紀はまったく気付かなかった。一つ問題が解決したと思って安心していたらまた問題。早紀は幸せなんて手に入らないものなんだと闇に葬られた気分だった。タケ君と子供が話しをしているのを見て、居ても立ってもいられず、あてもなく走った。「タケ君とは幸せになれない」「やっぱり早紀には幸せは訪れないんだ」そんなことを思いながら、どれくらい走っただろう。



