外はもう真っ暗だ。
杭州から又人が乗り込んできた。
多くの荷物を抱えたおじさんが何か言った。

「我不知道」
と答えたらどっかに行ってしまった。
テーブルとシートは散らかったまま火車は動き出した。

『あと1時間くらいか』と一息ついたとき、
黒ぶちのめがねをかけた青年がシートのめくれを直しながら、
向かいに座った。何かつぶやいたが分からなかった。

青年は散らかった新聞を手にとって読み始めた。
『もうすぐ義烏かな?この青年に聞いてみたいが』
なかなか取り付く島がない。

思い切って切符を示して、
「義烏下次、阿?」
通じたか?何か答えてくれた。

どうも本人も義烏で降りるらしい。
メモに、
『木彫工芸品、猫』
と書いて示すと。彼は名刺をくれた。

『木製民芸品 費衛』
とある。メモに”包装盒”と書く。
ケータイで動画を見せてくれたが、ちょっと違う。

『木彫猫、梟』と書いてスケッチをすると、
あっちからこっちから人が覗きにきた。

「トンヤン!」と叫んで一人が、
『東陽、吴宁鎮』と書いてくれた。