宇宙船のようなどでかい南火車站内に入る。
当天售票処、ここで当日分が買えれば運がいい。
でなければ長距離バスだ。

「義烏、特快、1帳」とメモに書く。
「特快、没有、快速、好?」
「OK」
「42元」

安い!少しついてきたぞ。
4人がけの窓際に座った。
向かいの男はむしゃむしゃとパンをかじっている。

そこにビジネスマンがやってきて席が違うぞという。
横の学生風の男と3人皆一斉に切符を見る。

パン男が私の横に座りなおした。ごめんともなんとも言わない。
ビジネスマンはあからさまにいやな顔をして向かいに座った。

テーブルにはパンくずと紙袋、ペットボトル。ビジネスマンは
「ふん」という態度を示したままケータイでしゃべり始めた。

パン男はパンを食べ終わりくずを袋に乗せる。
学生はケータイでメールしている。
あっちこっち、ケータイでしゃべっている。
そのうち列車は動き出した。

車内販売が次から次へと来る。新聞、お菓子、果物、飲み物。
何度も来る。そのうちビジネスマンが梅の実を買った、
すると学生も梅の実を買って二人ともぼりぼりとかじり始めた。

二人とも種をパンの紙袋の上に次々と捨てていく。
パン男はちまきを食べ始めた。笹の葉が1枚1枚
その上に捨てられていく。

ビジネスマンは新聞を読みながらぼりぼりと梅を食べ続けている。
パン男も新聞を買って読み始めた。そして2時間後。
杭州の駅で皆降りてしまった。

テーブルの上には紙袋を大きくはみ出しててんこ盛りの梅の種と笹の皮。
シートには新聞が散乱し学生が座っていたところはシートがめくれていた。