博士と渚くん

「スミレもお疲れ。博士、そろそろ帰ろっか」

「あ、うん」

私は渚くんに手を引かれ、立ち上がる。
現代の9月の夜は暑い。私が高校の頃はもう少し涼しかった気がするけど、多分思い過ごしだろう。

「渚ありがと!」

「どういたしまして」

「大槻さんも、ありがとうございました!」

「いえいえ」

スミレちゃんは私と渚くんに手を振り、見送ってくれる。

気持ちのいい子だ。