文化祭の劇。 思っていたよりもみんな本気で、演技が上手だった。 私の大根芝居がまだ見れるレベルまで昇華したのは、彼女の的確なアドバイスのおかげ。 渚くんは彼女をスミレと呼んでいた。この劇の台本を一人で創り上げ、かつこんな私にわざわざ頭を下げに来たあの女子だ。 美人と称するに相応しい彼女だから、スミレちゃんが劇に出ればいいと思った。 だけどそんな甘い考えを謝罪の念に変えるほど、彼女は忙しい。 クラス唯一の演劇部であるらしいスミレちゃんは、みんなに頼られる存在みたいだ。