渚くんは女子を送ったあと、再びうちに来た。



「博士どうすんの?」

「断わります。無理です」

渚くんに言うと、彼は呆れたようにため息をついた。

「実はね、博士を指名したのは俺なんだ。
本当は博士を人前に出すのは好きじゃないけど、博士だってこれから社会に出て行かなきゃならないわけだからね。
いつまでも俺が隣にいられるわけじゃないし。
だからこれは、外に出る練習だよ」

渚くんに言われて胸が痛くなる。少しだけ。


当たり前のように隣にいてくれた渚くん。
これから、彼女も出来るだろうし、仕事だってするだろうし。

いつか、それもあまり遠くない未来に、私の隣からいなくなる日が来るのだろう。


「……わかった」

そんなの、こう返事するしかないじゃん。

早く自立して、渚くんに安心してもらわなきゃ。