「博士ー?」

渚くんが柱の陰に隠れる私を呼んだ。
私がじっと息を潜めていると、足音が近付いてくる。

勝手にこんなところにいたなんて、絶対怒られる。渚くんの言いつけを守らない人への説教は長い。

「ばればれだよ博士。影が…」

「あ」

窓からさす日光のせいで居場所が割れたみたい。
なんともマヌケな話。

「さて、教室に戻ろうか」

渚くんが小さくそして軽くなった私を抱き上げる。

「渚くんさぁ」

「ん?」

「あんな嘘ついて大丈夫なの?」

「あぁ。大丈夫じゃない?
普通に考えて年齢おかしいじゃん」

ケラケラと笑う。ですよね。

「こんなこと言うのもなんだけど…気をつけてね?」

毎日毎日追いかけられる恐怖を私は体験した。
あいつはそういう執念深い男だ。

渚くんに何かあったらと、心配で仕方ない。