「ど、どうしたの?」

痛いくらいの力で掴まれる手。こんなの初めて。

「博士…笑わないで」

「え?」

油断した瞬間。
渚くんの手によって床に押し倒された。
下が絨毯なのが救い。背中の痛みはまだましだろう。いや、十分痛いけどね。

「痛…」

痛みに顔をしかめながら、私を見下ろす渚くんを見た。何を考えているのだろうか。


渚くんは、悔しいような情けないような悲しいような寂しいような、そんなよくわからない表情をしていた。