届かぬ声を、君に。





「舞香、泣かないで」



優花が心配そうに言う。



「優花っ………行かないでよ……」



私が止まらない涙を拭いながらそう言うと、優花は私をそっと抱きしめた。


「舞香、私、必ず戻ってくるから。だから、心配しないで待ってて。私を信じて」



となりには弘輝くんがいて、弘輝くんももらい泣きをしてしまったのか涙ぐんでいる。



「ちょっと、弘輝! 泣かないでよ! 男でしょ!」



優花は思いっきり弘輝くんの背中を叩いた。



「それじゃ、行ってくるね」



優花はそう言うと、私と弘輝くんに手を振って歩いて行った。



「優花!」



私が大声で叫ぶと、優花は立ち止まってもう一度振り返った。


優花も、泣いていた。



「絶対、帰ってきてね!」



私の言葉に優花は深く頷くと、また歩き出した。



私は、優花の背中が見えなくなるまでずっと見つめていた。