届かぬ声を、君に。





そして、いよいよ優花がアメリカへ出発する日。



夏休みくらいには、帰ってこられるらしい。


優花は、きちんと弘輝くんに病気のことを言って、遠距離でも付き合い続けるらしい。



四ヶ月くらいは、優花のいない生活。


もう、優花と二度と顔を合わせることはないかもしれない。



ううん、そんなことない。


優花は必ず帰ってくる。



「舞香」


「なぁに?」



寂しそうに微笑む優花の手から受け取ったのは、小さなお守りだった。



変だと思う。



手術をするのは優花なのに、私がお守りを優花からもらうなんて。


「これ、私だと思って、持ってて。私がいなくても、授業中寝ちゃダメだよ」


「うん」



涙をぐっとこらえた。



泣いちゃダメ。


四ヶ月、離れるだけ。



夏休みには、優花は帰ってくるから。


泣くな、舞香。



そう自分に言い聞かせたのに、涙は言うことを聞いてくれない。