届かぬ声を、君に。




そんなの………ダメだよ。




「優花ね、あの定期演奏会の日の朝に、急に倒れて。救急車で運ばれて、心臓病だって診断されたの」



なっちゃんが寂しそうに俯いた。



「治療をしなかったら、残りの命は半年。アメリカに行って手術をして、成功すれば普通の人と同じだけ生きられるって。


でもね、その手術の成功率は、本当に少なくて。失敗したら………」




なっちゃんの悲しそうな瞳で、その続きはもう分かった。




失敗したら、優花の命はなくなる。





成功したら、生きられる。







その少ない成功率に賭けるため、優花はアメリカに行くことを決意したんだ。