届かぬ声を、君に。





向かった先は、優花の家。



♪ピーンポーン♪


猛スピードで走ってきたせいで、息が乱れる。



「はーい」



ドアをガチャリと開けて、出てきたのは優花のお姉ちゃんだった。



優花のお姉ちゃんは大学生で、名前は優奈(ゆうな)。


優花と区別がつきやすいように、なっちゃんって呼んでいる。


私も、なっちゃんに“まいちゃん”と呼ばれている。



私は、なっちゃんに小さい頃から妹のように可愛がってもらっていた。



「あっ、まいちゃん。あれ、学校は?」


「さぼってきた。ねぇ、優花は?」



私がそう聞くと、なっちゃんは少し顔を歪ませて、俯いた。



「まいちゃん、聞いてないの?」



「何、を………?」