真っ赤な自転車が急ブレーキをかけた先には、古びた学校がたっていた。
夏休み初日から、部活に遅刻するわけにはいかない。
蒼空は仕方なく、学校の前に自転車を停めた。
下足室を靴のまま通過し、古く小さな校舎の割には広いグラウンドに出る。
水泳部にとってのグラウンドへ走ると、今から筋トレが始まるというところだった。
青陵高校は水泳が強いと有名なわりにプールが狭いため、普段の練習は学年ごとに時間をずらしている。
「相田ー!早くしろよーっ!」
プールサイドからは、同じ水泳部員の三浦懸吾の声が聞こえる。
「ごめんなさーい!」
蒼空は照れ笑いながら、プールの門を開けた。