制服に着替え事務所へ向かえば、書類を片づけている颯の隣の席に座り話し込む矢吹がいた。 出社の証である名前プレートをひっくり返し、矢吹の背後に立つ。 「矢吹さん。そこ、あたしの席です」 「あわわ、来たよー! じゃあまたね、颯」 自分の部署にそそくさと戻る矢吹を流し見て、温もりの残る椅子に腰掛ける。 颯に何を言ったか分からないが、きっと悪口を言われたに違いない。 「また家内さんにちょっかい出したみたいだね、あの人」