「なんやようわからんけど、仲良うしたってください。 一葉言うんやけど、知り合いがおらんみたいやし、きっと寂しいと思うんどす」
「ふうん、そうなのか?」
沖田は香織の話している間も、女の事を思い出そうと頑張るが、全くもって覚えがない。
(一葉、か……)
いつも通りに幾つか甘味を頼み、適当な席に座る。
届いた甘味を口いっぱいにほお張ると、久しぶりに幸せな気分を味わえた。
「勘定を」
「へえ、おおきに。 またおこしやす」
香織の常套句を聞き流しながら、沖田は店の暖簾をくぐり外へ出た。
外は料理茶屋なだけあって縁台に赤い布をかけられた腰掛けが幾つかある。
ここはそれなりに景色もよく、外で食べるも中で食べるも客の気分次第だ。
まだ少ない客がちらほら座る縁台に目をやると、そこには先ほど店の奥へ下がって行った一葉の姿があった。
一葉は客と話していたようだったが、沖田に気がつくと客に頭を下げてから会話を終わらせたようだ。
それからぱたぱたと沖田のいる方へ走ってくる。
「あ、あのっ……!」
一葉が少し離れた場所で沖田に声をかける。
このまま話すのには少し遠いと思われたが、沖田は気にせず返事を返した。
「なんだ?」
「あのっ! さっきは、すみませんでした!」
大袈裟なほどに勢いよく頭を下げる一葉に、周りの少ない客が動揺しているのが見える。
沖田はそこまで怒っていたわけでもなかったので、一葉の行動に驚いた。
まさかそんなに気にして
