「割とモテるらしいぞー?」
当たり前だ! このオレが惚れてんだからな。
「まあ、告白されても冗談だと思ってるらしくて、軽くかわされてるらしいけどな」
 …ってことはまだ彼氏はいないって事だな。

オレは少しほっとした。
まあ彼氏なんざ、いたとしても奪えばいい事。

「そんな純粋さに負けましたってか? 以外と純愛好みだったんだな、お前は」
「そうだったらしい」
「いい子だっていうのは、優から聞いてる。ま、お前が女に引っかかるとは思ってないけどね」
「そりゃどうも」
「そのうちオレも、会ってみたいね」

誰が好き好んで会わせるかっ!
これ以上ライバルは増やしたくない。
それにそうじゃなくても、こいつは絶対オレをいじる!

天使の名前は「早坂水織(みおり)」といった。
郊外の高校に通っていて、1年生だ。
高校生にしては多少幼い感がないでもないが…。

週末と、あとは忙しいときだけ、事務所に顔を出す。
バイト…なのだが、母親が社長と知り合いらしく、意外とぬるい感じだ。

 
次の週末、オレはまた事務所にいた。
シフトを見て、水織がいるときは必ず入るようにしてるので、事務所のほとんどが、オレの恋心に気がついているようだ。
 
…当たり前だ。
自分でも笑ってしまうほどにあからさまだと思う。
気がつかないのは、水織本人ばかり。