【9月のナイト】


「鏑木真成(かぶらぎまな)です、よろしく」
えらいデカイ女だな…。
170はあるんじゃないか?

まあだが、なかなか美人で、落ち着いている大人の雰囲気がある。

水織の幼なじみというこの女、なかなか迫力がある。

「幼なじみ…高校生…なわけないよなあ」
「なわけないわねえ。23でした」

オレより年上だったか。
23歳にしても、大人っぽいが…。


バイトの帰りに、水織を送って家まできたら、この真成がいたというわけだが。

水織は、親父は単身赴任。母親は演奏家で、かなり留守がちだ。
今日も家には水織だけだという。

「松岡さんにも、泊まっていってもらったら?」
「ん? そう? そうする?」
真成の不意の一言と、水織の警戒心のなさで、オレはその日、初めて水織の家に泊まることになった。

しかし、この鏑木真成という女…。
見ているうちに気が付いた。

こいつ、水織を守ってる。
どうしてこんなに庇うんだ?