まあそれはさておき。

プールに行くことになったのは…。
達夜、オレ。
優沙と水織。
そんでだ。なぜ…なぜお前がいるんだっ、曽山郁!!
 
「えー。話したら行きたいってー。
チケットないから自腹だよって言ったんだけどねー」
お前かっ、優!!!
「新しく出来たとこですよね、行きたかったんです」
重石つけて沈めてやろうか…。

まあこうなったのは仕方ない…。
見るからに貧弱細身なその体、恥じて負けを悟るがいいっ。

「あれが、噂の泥沼君? 全然だな」
「話にもなんねえよ」
学校が一緒というだけで、大きな顔をされちゃたまんないぜ。
身の程を知ってもらいたいもんだ。


新しく出来たプールというのは、まあ屋内バーデゾーンと各種プール、温泉施設から成り立つ公共施設。
その場所の辺鄙さゆえに、平日は貸切状態なのだ。

妙なおまけが付いてきたものの、水織の水着姿だ。ここは素直に喜んで置こう。

「松岡ー」
まずは優が出てきた。
そしてオレに耳打ち。
「すごいよー、目の毒だよー」
う、ほかの誰にも見せたくない。
「達夜、郁とどっか行っててくれ」
と、本気で言いそうになった時。

ああ、どうしてあと5分待っててくれなかったのか!

「お待たせー」
う…。
駄目だ…直視できない…。
可愛い…可愛すぎる!
抱きしめたい…。

「駄目だろ。しっかりしろよ、お前は」
ぎぎっと、油の切れたロボットみたいになったオレを、達夜がいさめた。