すぐに来て…か。

私は約束通り、屋上へ向かった。


ガチャ…

夕方の生暖かい風が私の体に優しく当たる。屋上って入っても良かったんだね。

まぁベンチがあるくらいだから屋上はくつろぎの場なんだろう。


「待たせてごめん。女子がうるさくてさ」
「別にいいよ。いい場所見つけたし」

本当に心地よい場所。

運動部のかけ声。

吹奏楽部の楽器の音。

「なんか、こういうの新鮮かな」

つい、呟いてしまった。

「え、うん。そうかもな」

冬泉君は話し続けた。

「ここは、俺のお気に入りの場所なんだ。屋上なのにあまり人気がなくて一人になるにはもってこいの場所なんだ」

知らなかった。

「へぇ、そうなんだ。ここ結構好きかも。昼休みとか来ようかな」

「じゃあこれから、毎日ここで食べようよ一緒に」



今気づいた。何でこの人は私なんかに構ってくるのか。

その理由?それは私にもわからない。
嫌われ者なんだよ、私。

「いいよ。それより私になんか用?」

少し、戸惑った表情の冬泉君。
運動場を眺めながら言った。

「いや…特に用ってのはないんだけど…ほら、いつも白石さんにイジメられているから大丈夫かなって」

何それ同情ってヤツですか。そんなのいらない。

「冬泉君…あなたに私を構う時間なんてあるの?こんな無駄話なんて時間の無駄だよ。同情なんていらないから」

「はっ、同情なんかじゃねぇよ。俺は心配してんだよ宮崎さんのことを!」

私は黙って彼を見た。変な感じ。
冬泉君とは今日が初めての会話だというのに…


何でこんな話をしているのだろう。