「ごめんみんな 用事思い出したから」 そう言って その場からにげた私は 図書室にむかった ゴホッゴホッ……ハァ ハァ いつもなら誰もいないはずの図書室から そんな音がきこえた そこにいってみると 今朝転入してきた飯島が 胸をおさえながら苦しそうに咳をしていた 私が見ていたことに気づいた彼は 苦しいのをこらえて ゆっくり笑顔をつくった 綺麗な笑顔だった でもどこか寂しげで 今朝の桜を思い出させた