「ん。」


短く返事をして、私はカウンターに向き直った。


「名前、なんていうの?」


これ、クラブではよくあるのかな。

ナンパ?

でも、これもきっと出逢い。

大事にしなくちゃ。

いつ運命が転がってるかわかんないもんね?


「かのん」


「カノン?」


軽く頷くと、彼は、


「かわいい名前だね」


と言って笑った。


やばい。コイツは軽いわ。