「でも…飛ぶんだよ」
完敗です、とでもいうように、中堀さんが肩を竦めて見せる。
「いつも目一杯、力の限り、飛ぶのな。」
私は段々会話の流れが思ったものではなさそうだと、気付く。
「いつだったかあんたが、会社でアホウドリって呼ばれてるって泣いた時、一瞬焦った。俺もそう思ってたから。」
思い出すようにクスクスと笑う中堀さん。
「俺にとっては、あんたはいつも不機嫌なアホウドリ。中々手ごわくて、笑ってもくれない。…けどお陰で、飽きなかったよ」
ん、これって、けなされてるの?褒められてるの?
よくわからなくなってきた。
「でも、予想外の確率で、大分今回は飛ばしてくれたね。だから、まぁ、アルバトロスに昇格してあげる。」
えー、と。
つまり。
阿呆鳥から、アルバトロスってことは…結局一緒なんだけど…、奇跡的な鳥ってこと、、かな?
え、ちょっと、それ、今までにない感じ?
不機嫌な、アルバトロス。
ちょっと格好いいじゃない。
段々と私の口元が緩む。
陰口叩かれて、そうやって呼ばれてるのが、すっごくキライだったけど。
中堀さんが、私をそうやって言ってくれるなら、なんかそれはすごく良いかも。
なんて。
隣で悶絶している中堀さんを見ると、私って本当に乗せられやすい馬鹿なんだなぁって思うけど。


