淡い期待を持ったのは、自分自身の勝手な都合だったのに、裏切ったと中堀さんをひっぱたいて。


二度と会えないと思ったら、なんだかすごく残念に思えて。



もう、誰でもいいや、と思い直して。


理想を追い求めて、ここまできたのに、手の届く範囲でしか結局恋愛をしなくなっていた私。



なんだかんだいって、そんな私の負の連鎖を断ち切ってくれたのは、中堀さんだった。



タカの誘いに頷こうとした私を、駄目と言ってくれたのは金髪の彼だった。




「だけど、、できませんでした…」





関わってはいけない人間だと、警報は常に、自分の中で鳴り響いていた。



私は項垂れる。




「抵抗しようとすればするほど…、その反動が強すぎて…」




全然手が届きそうな位置に居るひとじゃ、なかった。



だけど、いつしか隣に居たいと願うようになった。



手に入らないとわかっているのに、何をしてでも欲しかった。




「貴方のことが、好きだって…思い知らされるんです…」




私の目には、自分の靴と、中堀さんの靴が見える。



その間に、私の溢した涙が点々と痕をつけている。




「なのに、、それを伝えることすら、許されなくて…」




さよならをした夜も。


直ぐにまた逢えるんじゃないかと頭の隅で思っていた。


どこまでも未熟な自分でうんざりするけれど。