不機嫌なアルバトロス

「俺もびっくりしたよ。まさか、アオからそんなこと言い出すなんてね―。あれは、つまり…燈真とも手を切るってことだからなぁ。燈真も俺も、突然どうしたんだよって訊いたんだけど、結局最後まで答えなかった。」




「…なんで、急に…」




「さぁ…あいつの考えてることはいつもわかんねぇから。だけど、そこにカノンちゃんが関わってるってことは、言えるんじゃないかなとは思う。」




急に自分の名前を出されて、私はきょとんとした。



「え、、それってどういう…」



「その先は、俺の勘の話だから、自分で考えて。」




にっこり、満面の笑みで、タカは言い放つ。



「ひどい!」



拳を振り上げて言えば、タカは小さく声を立てて笑う始末だ。




「さ。もう時間がない。そろそろ夜明けの時間、だろ?」




私の腕をパシッと掴み、タカは急に真面目な顔をする。



「カノンちゃんが、アオに会って、その先どーなるかは正直、わからない。けど、俺はカノンちゃんにその気があるなら、アオが行きそうな場所を教えるよ。どんなことになっても、良いね?覚悟、できてる?」



目を、逸らす事無く、私は無言で、頷いた。



「よし、わかった。」



タカもしっかりと頷いて見せた。




「…そもそもアオがこの街に戻ってきたのは、養父の訃報を受けたからなんだ。」




思わず息を呑んだ。





「でも、あいつは笑ってた。そういう奴なんだ。」




私を安心させるように、タカは付け足す。