私には、中堀さんの過去がどういうものだったのか、なんて、到底知ることができない。


想像することすら、難しい。



でも、タカの言葉で。


燈真の言うような生き方が、彼を救えているのだとすると。



痛いくらいに。


胸の辺りが締め付けられるようで。



私は何も言うことができず、少しの間、沈黙が二人を覆う。




「…だけど」




やがて、タカが再び口を開く。




「今日、アオが辞めるって…言ったんだ。」




「え?」




タカは私を見て、ふわりと笑う。




「燈真と会ったんだろ?あいつ、機嫌悪くなかった?」




言われてみれば。



「苛々していたような気も…」



私が同意すると、タカはうんうんと頷いた。




「アオがね、もう、この仕事辞めるって言ったんだ。燈真がめちゃくちゃ怒って大変だった。」



大変だった割には、楽しそうだ。