自分が特別扱いされたとかそんな勘違いはしていない。



していないけれど。





「入るんじゃない?」




暫くして中堀さんはあっさりと頷いた。



特に、大したことではないかのように。




―め、めげない。





自分を奮い立たせながら、私は次の質問をする。





「どうして…したんですか…」




私にしたところで、メリットはない筈なのに。






「風邪ひきたかったから」




「!」




直ぐに返って来た返事に、私は固まる。



そ、そーいうことだったのか…?




「…って言ったら、納得する?」




目は前を見たままで、中堀さんはにやっと笑った。



危なかった。


騙される所だった。




「ひどいですよ!私、真剣に訊いてるのに―」




一瞬停止したかに思えた胸を撫で下ろしたのも束の間。




「どんな答えが欲しいの?」




中堀さんの笑いが、自分の思っていたものではなくて、少し冷たい感じだということに今更ながら気付く。




どんな…って…



私はどう答えて欲しいんだろう。




穏やかに思えた空気が、張り詰めている。



訊かなければ、良かった?






「中堀さんにとって……どうだったのかが、、純粋に、、知りたかっただけです…」





思ったままの、素直な気持ちを伝えたかった。



計算高いわけでもない。


その先を期待しているわけでもない。




ただ、あの時。



中堀さんは、どういう気持ちだったのか。


知りたかったの、と。