「妹、、さん?」
私が繰り返すと、タカはうんうんと頷いた。
「燈真が居ない時にはあーやって、ここで働いてるけど。大体クラブに入り浸ってるよ。」
ふーん。そうなんだ。
シェーカーを振る彼女の姿を目の端に捕らえながら、なんとなく複雑な思いになる。
クラブに入り浸っているということは、勿論中堀さんとの接点も多いわけで。
まして、中堀さんとトーマさんは仲が良さそうだった。
嫉妬…かな。
そんな資格ないのに。
自分に嫌気がしてくる。
「あの、、零さんが居ないんだったら、私…今日は帰ります。」
色々がっかりしながら、そう告げると、タカはあからさまに残念な顔をした。
「えーーー、まだいいじゃんー!ちょっとくらい、俺に付き合ってよぉ」
「いや、その…」
半分腰を浮かした状態で、私が更に断ろうとする所に。
カタリ。
カウンターの上に置かれる、グラス。
「一杯だけ。飲んでいったら?」
射抜くような目で、葉月が言った。


