「あ…いえ。今日は、その…な、じゃなくて、零…さんに、会いに…きたので…飲むつもりはないんです。。」
丁重に断るも。
「え、零?あいつ、今日は居ないよ?」
タカが不思議そうな顔をする。
「あれ…?」
あ、そういえば。
志織さんと一緒に過ごすって、言ってたっけ。
「…馬鹿しちゃった…」
私ががっくりと肩を落とした。
「なんだ。あいつに会いに来たんだ。そーだよねぇ。俺じゃぁないよねぇ…」
その隣で、何故か同じように肩を落としているタカ。
「ご注文、お決まりですか?」
そこに、高くて強く通る声が、カウンター側から降ってきた。


