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「すーはー、すーはー…ふぅ…」
午後22時00分。
ノッテ・ディ・ルーナの扉の前で、私は怪しく深呼吸を繰り返していた。
今夜は満月まであと一歩というところだ。
明日はきっと完璧な丸い月だろう。
一度家に帰って着替えてから、変な緊張を纏いつつ、私はルナにやって来た。
でも、中々中に入ることができないで、現在に至る。
外は冷え冷えとしているのに、私は手に変な汗をかいている。
次から次へと中へ入っていく人たちも、私を変なものでも見るような目つきで見ていく。
だけど。
「うう…」
入んなきゃ、と思うのに、入ったら中堀さんが居ると考えるとドキドキしすぎて入れない。


