なのに、直ぐにドアノブが回される音がする。
なんだよ、まだ何かあるのか?
隙間からちょろっと目を出した櫻田花音を俺は睨む。
『何。』
『ひっ』
驚いたように、櫻田花音が息を呑んだ。
俺は化け物か?
『えっと、、、その…あの…』
口ごもる癖に、一体何を言いたいんだか。
俺は首を傾げながら、中々出てこない続きを待つ。
『あ、あ、あの。。。えっと…』
そんなに言いにくいことなのか。
何も言わずに、じっと見ていると、やがて櫻田花音はぎゅっと目を瞑って。
『も、もう少しだけ…』
そこまで言うと、唇を少し噛み、また開く。
『…そばにいてくれませんか?』
―は?
なんだ?このしおらしいお願いは。
熱が出てとち狂ったか?
あぁ、でも子供だからな。仕方ないのかな?
そう思い直して、
『いいよ』
と言ってやると、櫻田花音はにやける。
その顔。
歩道橋の下でもやってたなとふと思い出し、内心笑った。
ダウンライトを点けて、椅子に座り、ベットに横になる櫻田花音を見る。
『これでいい?』
『…はい』
さ、これでやっと寝てくれるかなと思いきや。
『あ、の…一個…いっこだけ、、訊いてもいいですか…?』
何故か質問されることに。
薄暗い部屋に、安心感を見出しながら、適当に返事をする。
『…んー?』
『もし…私を、予定通り騙せていたとしたら…私の言うことも…聞いてくれましたか?』
また。
変な質問をしてくるな、こいつは。
呆れつつも、
『…たとえば?』
仕方なく質問の意図を知ろうと試みる。


