頭を冷やす為にも、俺は外へ出てコンビニへと向かう。


玄関から外へ出ると予想通りの冷たい風が頬を撫でて、今のあやふやな自分にちょうど良い。




―調子が狂うな。




自分が何をしたいのかわからない。



エレベーターで1階まで降りて、コンビニに入ると、外気とは打って変わって暑いと感じる位の暖房が効いている。


櫻田花音に頼まれたかろうじて一泊できる雑貨をカゴに適当に入れて、普段は行ったことのないアイスのコーナーの前で足を止めた。



―熱出てる時って…アイスとか、冷たいものが良いのかな。




ふとそんなことを考えて、ひとつふたつ手に取った。



―誰かの、看病なんてしたことないし、されたこともないな。



あ、一回だけ、死にかけた崇に呼び出されたことはあったな。



不本意だったから頼まれたものを玄関で投げつけて帰ったのを覚えている。



家に帰ると、洗面所から灯りが漏れていた。



―何やってんだ?



覗いてみると、櫻田花音の後ろ姿が見える。



タオルの閉まってある棚をいじりながら、




『なんだ、つまんないの』




と、溢している。




『何が?』




少しの意地悪をこめて、俺の気配を全く感じていなかった櫻田花音に尋ねると、案の定固まったのがわかる。




『おい。』




呼びかけてみても返事をせず、ぴくりとも動かない。




『おーい』




なんだよ、気になるじゃん。



何が、つまんないんだよ?



俺は少し考えて、良い案を思いつく。




『…アイス、食う?』




『!はい!食べます!』




こいつ、、、ほんと阿呆だ。