―『っとに、だったら関わんなきゃいいのに、わざわざリスク背負うこともないんじゃねぇの?』




金は別に必要ない。



女も特に必要はない。



その上、誰かを、どうせ好きになることもないのなら。



関わることなんか、しなければいいだけのことだ。



仕事にも満足している。



じゃあ、どうしてまだこんなことを続けているのか?




それは―



それはきっと―




『……櫻田花音?』




俺の顔をじっと見つめる瞳から目を逸らす事無く訊ねる。




『俺の髪の色は、黒と金、どちらが本当の色だと思う?』




―この髪の色が、大嫌いだからだ。



『それは…どういう意味ですか?』



さっきまで俺のことを睨んでいた目をきょとんと丸くして、櫻田花音は首を傾げる。



『俺の、元の髪の色は、どっちだと思う?』



俺も、別にあんたにこんなこと言わなきゃならない義理はないんだけど。



なんで、言う気になったのかな。



あぁ、あんたがなんかやたらつっかかってくるから。



なんとなく本音が出ちゃったのかな。




『そりゃ…黒でしょう?』




予想通り、櫻田花音は何を言ってるんだとばかりに即答する。




でも。



『ハズレ』